静まり返った真夜中、家の外から聞こえてくる規則的なポタポタという音に、私はふと目が覚めました。最初は雨が降っているのかと思いましたが、窓の外は晴れており、不審に思って懐中電灯を手に外へ出ると、そこには我が家の給湯器の下に小さな水溜まりができていました。給湯器の底面から一滴、また一滴と水が滴り落ちる様子を見た瞬間、心臓がどきりと跳ねるのを感じました。昨晩までは普通にお湯が出ていたのに、なぜ突然こんなことになったのか、修理にはいくらかかるのか、お湯が使えなくなったらどうしようかという不安が次々と頭をよぎりました。翌朝、私はすぐにインターネットで給湯器の水漏れについて調べ始めましたが、そこには不完全燃焼や爆発といった恐ろしい言葉が並んでおり、さらに不安は募るばかりでした。慌てて管理会社を通じて専門の業者を呼びましたが、業者が来るまでの数時間は、給湯器に触れるのも怖く、シャワーを浴びることもできませんでした。やってきた修理担当の方は、手際よく給湯器のカバーを外し、内部を点検してくれました。原因はやはり内部にあるゴムパッキンの経年劣化によるものでしたが、水が基板のすぐ近くまで浸入しており、もう少し発見が遅れていたら完全に動かなくなっていたとのことでした。その場ですぐに部品交換を行ってもらい、幸いにも数万円の出費で済みましたが、もし本体の交換となっていたら数十万円が必要だったかもしれません。この一件以来、私は日常の中で「音」に敏感になりました。普段当たり前のように使っているインフラが、実は非常に繊細なバランスの上で成り立っていることを痛感したからです。ポタポタというあの小さな音は、家が発していたSOSだったのだと今では思います。住宅設備は形あるものであり、いつかは壊れるものですが、その予兆をいかに早く察知できるかが、その後の生活を左右します。毎日何気なく通り過ぎていた給湯器の前で、少しだけ足を止めて耳を澄ます。そんな小さな習慣が、平穏な日常を守るためにいかに大切であるかを、あの真夜中のポタポタ音は教えてくれました。今でも夜が静かになると、当時の緊張感を思い出しますが、同時に対策を済ませたという安心感に包まれながら、深い眠りにつくことができています。