私は水道修理の業界で二十年以上働いてきましたが、お客様から最も多くいただく質問は、やはり「なぜトイレ詰まりの料金はこれほどまでに幅があるのか」という点です。お客様の立場からすれば、同じトイレの詰まりなのに、数千円で済む場合と十万円を超える場合があるのは不透明に感じられるでしょう。しかし、プロの視点から見れば、料金の差には明確な理由と根拠があります。料金を決定する最大の要因は、詰まりの「深さ」と「原因物質」です。トイレットペーパーや便が便器のすぐ出口付近で停滞しているだけの軽度なケースであれば、私たちが「ローポンプ」と呼ぶ強力な吸引機を使えば数分で解決します。この場合、特殊な機材も人手もかからないため、料金は当然低く設定されます。一方で、最も厄介なのは異物による詰まりです。プラスチックのおもちゃや、最近多いのが検診用の採尿カップ、あるいは猫の砂などは、便器内の複雑なトラップ構造にガッチリと嵌まり込み、空気の圧力だけでは決して動きません。こうなると便器を床から取り外して、裏側から手作業で除去するしかありません。この作業には高度な技術とリスクが伴い、漏水防止のための新しいガスケット交換などの部品代も発生するため、料金はどうしても数万円単位になります。さらに料金を引き上げる要因となるのが、建物全体の排水システムの不具合です。一戸建てであれば屋外の汚水桝に木の根が入り込んでいたり、マンションであれば共用部分に近い横引き管で油脂類が固着していたりする場合です。こうした「深い場所」での詰まりを解消するには、エンジン式の高圧洗浄機を投入し、何メートルものホースを配管内に送り込んで洗浄しなければなりません。この作業は機材の償却費やガソリン代、そして高度な操作技術を要するため、どうしても高額になります。また、私たち業者の運営コストについても触れておく必要があります。二十四時間対応を掲げている業者は、待機しているスタッフの人件費や深夜の車両維持費を料金に反映せざるを得ません。したがって、緊急性は高いものの少しでも費用を抑えたいのであれば、地元の個人経営の水道屋さんに平日の営業時間内に依頼するのが最も安上がりな選択となります。私たちは決して闇雲に高い料金を請求しているわけではなく、現場の状況に応じた最適な解決策を提案した結果として、正当な報酬をいただいています。良い業者は、なぜその作業が必要で、なぜその金額になるのかを、専門用語を使わずに分かりやすく説明します。その説明に納得できるかどうかが、適正な料金を支払うための判断基準になるはずです。